2013年8月4日日曜日

大人気のCUBEアンプシリーズに新ラインナップが登場!iPhoneとの接続が可能でJC-120が蘇る小型ハイパワーアンプ「CUBE-80GX」が登場!


ローランドのギター・アンプ、CUBEシリーズは、コンパクトなサイズなのに驚くほどパワフルなサウンドが出せることで、発売以来高い人気を保っている。そのCUBEシリーズがラインナップを一新、CUBE-GXシリーズとして新たに4製品が投入された。新たに登場したのは、20Wの「CUBE-20GX」、40Wの「CUBE-40GX」、80Wの「CUBE-80GX」、それに乾電池駆動も可能な小型の「MICRO CUBE GX」だ。いずれも、リアルなサウンドに定評あるCOSM(アンプの物理的特性をモデリングするローランド独自の技術)によるアンプ・モデルや各種エフェクトを内蔵し、堅牢な造りやパワフルなサウンドといった、従来のCUBEシリーズの特徴をそのまま引き継いだうえ、COSMアンプやエフェクトをチューン・アップしている。また機能を絞り込んだことで操作性も向上し、よりライヴ向きのアンプとなった。さらにiPhone/iPadアプリとの連携機能も追加され、ライヴはもちろん、様々な楽しみ方ができる製品となっている。より研ぎ澄まされたCUBE-GXシリーズ、今回はそのフラッグシップ製品である「CUBE-80GX」を使ってみた。

Roland CUBE-80GX/CUBE-40GX Guitar Amplifier Sound Preview


■わずかにスリムに、軽くなった「CUBE-80GX」

30cmスピーカーを1個搭載するCUBE-80GXは、正面から見るとほぼ正方形のキューブ型。見た目の印象は旧モデルの「CUBE-80XL」とほぼ変わらないが、奥行きと高さがわずかに小さくなっていて、重量は1.8kg軽量化されている。数値的にはほんの少しの違いでしかないのだが、旧モデルに比べてかなり持ち運びが楽に感じる。片手でもサッと持てるし、階段の移動も苦にならない。それでも従来どおり四隅には頑強なコーナー・プロテクターが組み込まれ、キャビネットの作りも堅牢そのもの。内部のスピーカーが、経年変化による緩みを生じない“ダイレクトジョイント構造”でガッチリ固定されていることや、そのスピーカーがコーンを含めてカスタマイズされていることも従来どおり。音質や耐久性を追求する姿勢は、今回の新製品にも変わらず貫かれている。

■マニュアル/クロマチック両用のチューナーを内蔵

旧モデル同様、CUBE-80GXにもチューナーが内蔵されている。このチューナーは、弦を1つずつ指定してチューニングするマニュアル・チューニングと、弾いた音にもっとも近い音程を自動的に判別するクロマチック・チューニングの両方の使い方が可能だ。マニュアル・チューニングの方法は、コントロール・パネルのTUNERボタンを押し、アンプ・タイプを選択するつまみでチューニングする弦の音程を指定すればOK。弾いた音程を判別して、緑のLEDとその左右にある赤のLEDで知らせてくれる。音程が高い時は右の赤LED、低い時は左の赤LEDが点灯するので、中央の緑だけが点灯するようにチューニングすればよい。一般的な開放弦、6弦のEから1弦のEまでのほかに、半音下げたチューニングのための6弦の開放のE♭や5弦解放のA♭とA♭♭、さらには7弦ギター用の下のBまで用意されているから、様々なチューニングに対応可能だ。TUNERボタンを長押しすると、クロマチック・チューニングを行なえる。チューニングが大きく外れていないときの微調整は、こちらが便利だ。

■必要なサウンドに瞬時にアクセスできる3チャンネル構成
旧モデルと大きく異なるのがチャンネル構成だ。以前はJC CLEANとLEADの2チャンネルだったが、CUBE-80GXではSOLOチャンネルが追加されていて、3チャンネル構成になっている。
今回新規追加されたこのSOLOチャンネルは、JC CLEANとLEADの両チャンネルで作った音色を記憶するためのチャンネルだ。JC CLEANまたはLEADチャンネルでつまみを動かして音色を作ってからSOLOボタンを長押しすると、その音色がSOLOチャンネルに記憶されるという仕組みだ。これらのチャンネルはSELECTに用意された3つのチャンネルボタンを押すだけで切り替えられる。チャンネル切り替えはGAフット・コントローラー(GA-FC:別売)でも可能だから、ライヴなどでも瞬時に音色を呼び出すことができて便利だ。ちなみにこのGAフット・コントローラーでは、後述するエフェクトのオン/オフの操作も可能。またチャンネル切り替えはフットスイッチ(BOSS FS-5UまたはFS-6)でも操作できる。

■チューン・アップされたCOSMアンプ

CUBEシリーズの音作りのキモであるCOSMアンプは、もちろんJC CLEANとLEADの両チャンネルで利用できる。COSMアンプのそれぞれの音については、以前「CUBE-80XL」を紹介したときにもレポートしたが、今回はチューン・アップされたということなので、改めて確認してみよう。まずはJC CLEANチャンネルから試奏開始だ。これはもちろんローランドのJC-120をモデリングしたCOSMアンプだ。コードをかき鳴らしてみると、ナチュラルなアタックが心地よいクリーン・サウンド。一音一音の粒立ちがよく、曇りがなくて明瞭だから、コードの構成音の一つ一つを聴き分けられる。スッキリとしたクリーンな音は、まさにJC-120だ。JC CLEANでは3トーンのEQUALIZERの効きは穏やかだが、BASSを上げれば図太くなるし、HIGHを上げ、さらにBRIGHT(ブライト)スイッチをオンにすれば、切れ味鋭いシャープなカッティングもできる。VOLUMEを上げても歪まないので、本当にクリーンなサウンドを大音量で出すことも可能だ。とても利用価値の高そうなサウンドだ。


このクリーン・サウンドをベースに、エフェクターなどを使って好みの音を作るのも面白そうだと思ったのだが、それならLEADチャンネルを使えばいい。LEADチャンネルには著名アンプをモデリングした10種類のCOSMアンプが用意されているのだから、多少でも歪ませたいならこちらのほうがよほどいい音を簡単に作ることができる。つまみを回すだけでアンプ・タイプを切り替えられるから、色々な音に変えながら弾いてみるだけでもかなり面白い。

たとえばBLACK PANELはFenderのTWIN REVERBをモデリングしたもの。低域が図太いから低音弦のリフに迫力が出るが、それでいてアタックも明瞭に出るし、高音弦の音にも張りがあって明るい。GAINをいっぱいに上げたときの軽い歪みは、ブルース、ジャズ、ロックンロールなど幅広いジャンルで使えそうだ。似たようなキャラクターで、それより低域がグッと出てくるのが、同じくFenderのDeluxe ReverbをモデリングしたDLX COMBO。やはりキャラクターが近いサウンドで、より中域がふくよかに出てくるのがFENDERのTWEED BASSMAN 4×10" ComboをモデリングしたTWEEDだ。ややクセのある中域が前に出て、歪ませたときには“粘り”も感じられるサウンドだ。さらにもう少し歪みが増してパワフルになるのがBRIT COMBO。これはVOXのAC-30TBをモデリングしたもので、カラッとした明るい歪みだがあたたかみがあって力強い。GAINの設定で歪みを抑えると歯切れがよく、60年代のリバプール・サウンドっぽくなるし、強めに歪ませると中域から低域がグッと出てきてパワフルになる。さらにファズでブーストすればクイーンのブライアン・メイのような音も出せそうだ。

■強烈に歪む4タイプのアンプ、特徴あるオリジナル・アンプも

上記の4つは、軽くナチュラルに歪むタイプのアンプだが、もちろん強烈に歪むタイプのアンプも用意されている。中域が太く出るCLASSIC STACKはMarshallのJMP1987をモデリングしたもので、GAINのつまみを2時くらいから右に回すと歪みが増してきて、中域、低域がパワフルになり、サスティンも伸びる。GAINを最大にすれば、それだけで70年代ハードロックはバッチリ、という音だ。

EQUALIZERのTREBLEを最大にすると、高域の歪みがノイジーになるところも面白い。もちろん80年代以降のハードロックに対応するアンプもある。METAL STACKはPEAVEYのEVH5150、つまりヴァン・ヘイレンモデルのモデリングで、歪みはそれほど激しくないが、粗っぽいがレンジの広い、まさにあの音だ。またR-FIERはMESA/BoogieのRectifier、いわゆる“レクチ”のモデリングで、これはかなり激しく歪むし、低域の迫力もある。さらにオリジナル・アンプとして、過激に歪むEXTREMEもある。歪みはつぶれたように激しいが、音の輪郭が明瞭なのが特徴だろう。

このほかにもオリジナル・アンプとして、ACOUSTIC SIMとDYNA AMPが用意される。ACOUSTIC SIMは、アコースティック・シミュレーターで、エレキギターでアコースティック・ギターの音を出せるというものだ。シングルコイル・ピックアップのフロント・ポジションで使うと、あたたかみがあり、高音弦のシャリシャリとしたアタックのあるアコギらしいサウンドが出せる。またDYNA AMPはピッキングの強弱に応じて音色が大きく変化するアンプ。基本的にはあまり歪んだサウンドではないのだが、強く弾くとナチュラルなオーバードライブのかかったパワフルなサウンドになり、サスティンも伸びるようになる。

これらのすべてのアンプ・タイプに共通しているのが、とにかくパワフルで迫力があるということだ。もっと大きなスピーカーのスタック・アンプのような音量、音圧があるし、クリーンでも歪み系でも抜けがよくて明るいから、弾いていて楽しくなる。

■エフェクトはシンプルに使いやすく進化

内蔵のエフェクトは、EFX、DELAY、REVERBの3つのつまみで操作する。EFXにはコーラスとフランジャー、フェイザー、トレモロとヘビー・オクターブの5種類がまとめられていて、つまみの位置によってこれら5つのうちの1つのエフェクトを使うことができる。つまみのもっとも左から時計の9時くらいの位置までがコーラスで、そこから12時までがフランジャー、2時半くらいまでがフェイザー、4時までがトレモロ、最後の5時あたりがヘビー・オクターブとなっている。それぞれのエフェクトの位置で、つまみを右に回していくとエフェクトが深くかかり、最大になった位置から先が次のエフェクトに切り替わる、という使い方になる。

これらのうち、コーラスとトレモロはJC-120でもかかり具合の美しさに定評あるエフェクトであるだけに、とくにJC CLEANチャンネルのようなクリーン・サウンドととても相性がいい。JC CLEANは前述したようにそのままでも十分使えるクリーン・サウンドなのだが、ちょっとコーラスをかけるだけで音が太くなり、広がりが出てくるから、つねにオンにしておきたくなってしまう。またフェイザーやフランジャーはもちろん歪み系のサウンドでも効果的。過激なかけ方はできないが、音を分厚くしたり、ちょっとした変化を持たせたいときには重宝しそうだ。

ディレイは、DELAYつまみでディレイ音の音量を調整するタイプを搭載。ディレイタイムは、つまみのそばにあるTAPボタンを2回押した間隔で設定できる(最長2000ms)。ディレイは2タイプ用意されていて、つまみの左側12時までの半分がアナログ・ディレイ風のWARM、右半分が音色変化の少ないCLEARとなっている。CLEARのほうは確かに音色変化が少なく、ディレイ成分にはアタックのジャキッとした高域も含まれていて固い感じがするのに対し、WARMは高域が少し減衰していて、よりあたたかみのあるディレイ音だ。リバーブもREVERBつまみで深さを設定するタイプだ。つまみの左半分がSPRING、右半分がPLATEになっていて、ギター・アンプには欠かせないスプリングとプレートのリアルな残響音をつけることができる。

■iPhone/iPadを接続してセッションできるi-CUBE LINKも搭載

新しいCUBE-GXシリーズには、小型アンプの「CUBE Lite」に搭載されて話題を呼んだ、i-CUBE LINKも搭載された。コントロール・パネルにはi-CUBE LINK端子があって、付属する4極ミニプラグのケーブルでiPhone/iPadと接続することができる。専用アプリ「CUBE JAM」を使えば、iPhone/iPadのライブラリの楽曲でセッションしたプレイを録音することができる。自宅練習にも最適な機能なのだ。

CUBE JAMを使ってできることを簡単に説明しよう。CUBE JAMではiPhone/iPadのライブラリからインポートした楽曲を再生してCUBE-80GXから流し、それにあわせて演奏した自分のギターを録音することができる。もちろんCUBE-80GXで設定した音色、エフェクトの状態で録音される。速度変更機能があるので、難しいところのスピードを落として練習することができるし、半音単位で曲のキーを上下に変えられるので、ダウンチューニングの曲でもギターのチューニングをいちいち変えずに弾ける。さらに、ステレオのセンターに定位するヴォーカルやギターソロを消すことができるセンターキャンセル機能もある。とにかく好きな曲を楽しくセッションできる機能が満載なのだ。そして録音したセッションを聴けば、自分の弱点もよくわかるから、練習の効率も上がる。楽しく、効率的な練習を支援してくれるのがCUBE JAMなのだ。

■ライヴにもレコーディングにも便利な機能を数多く搭載
このほかにも、CUBE-80GXには便利な機能が数多く搭載されている。たとえば背面にはレコーディング用にRECODING OUT/PHONES端子とLINE OUT端子があり、レコーダーなどを直接つないで録音することができる。どちらもCOSMによるスピーカー・モデリングが搭載されているので、一般的なライン出力のように音ヤセする心配がないのもうれしいところだ。またRECORDING OUT/PHONES端子はヘッドフォン端子としても使えるので、夜間など大きな音が出せないときでも練習ができる。このようにレコーディングや自宅での練習にも便利なCUBE-80GXだが、本領を発揮するのはやはりライヴのときだろう。持ち運びも楽だし、操作性も良好。そしてなんといっても図太く迫力満点のパワフルなサウンド、それでいて幅広い音作りができるCUBE-80GXは、ライヴで使い始めたら手放せなくなりそうなアンプだ。

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