2013年5月19日日曜日

ボサノヴァの創世者・ギタリスト「アントニオ・カルロス・ジョビン」


ボサノヴァの創世者であり20世紀のブラジル音楽を代表する作曲家でもあり、ギタリスト、ピアニスト、そしてヴォーカリストとして世界的な活躍をしてきたアントニオ・カルロス・ジョビン。

ボサノヴァがブラジルローカルな音楽から世界的認識を得るまでに成長したのはジャズとの交流があったのは事実。しかしジョビンは「イパネマの娘」の大ヒット時、米国の大企業がコマーシャルミュージックへの依頼をしてきたがそれを断っている。これにはジョビンの「ボサノヴァはサンバにジャズのハーモニーをつけたもの」という認識への複雑な感情とブラジル人としての誇りがコマーシャルミュージックへの使用を断らせたと云われている。

ジョビンの音楽を主に形成したのはブラジル伝統のサンバのリズムと作曲家エイトル・ヴィラ=ロボスの影響を強く受けている。ジョビンの作品に見られる順次進行や半音進行の多用、トニックコードを明確にしないまま転調をすることによって得られる浮遊感などは当時のジャズにはない手法、このことからもジョビンが独自の工夫を凝らしたハーモニーそしてコード進行と言うべきもの。ボサノヴァがジャズの影響を受けているのは事実ではあるがジョビンに関してはジョビンの音楽がジャズにも深い影響を及ぼしているのは事実であるでしょう。



ジョビンは50年代初めから作曲をはじめ54年には初のヒット曲「浜辺のテレーザ」をリリース。作曲家やプレーヤーとしては活躍していたが自分自身の名義でアルバムをリリースしたのは世界的にボサノヴァブームが起こった63年と遅い。このアルバム以来アレンジャー、クラウス・オガーマンとコンビを組み世界的名演を録音し続けた。67年には当時のアメリカの大スター、フランク・シナトラとの共演「シナトラ&ジョビン」を発表、シナトラのボサノヴァに溶け込んだ繊細なボーカルはさすがの一言。そしてジョビンの最高傑作と名高い「Wave/波」を発表、オガーマンとジョビンの最高のコラボレーションで「WAVE」や「Triste」など名曲が並ぶ。

その後70年に発表された「Tide/潮流」は「Wave/波」にも並ぶ名作といわれるアルバムをリリース。74年には女性ボサノヴァシンガーのエリス・レジーナとの共演アルバム「ばらに降る雨」を発売。94年にはジョビンのファミリーが参加してのアルバム「Antonio Brasileiro」を発売。その後94年にニューヨークで心臓発作のため死去、リオ・デ・ジャネイロのサン・ジョアン・バチスタ墓地に埋葬。母国ブラジルではジョビンの死に際して大統領令が発され国民は3日間の喪に服したという。









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