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アップルは、今週、Google Nowに似たアプリを開発するCueという会社を買収しました。その理由は、ウェアラブル・コンピュータ分野でのGoogleとの来たるべき対決に備えての戦略と関係があるようです。
アップル、検索関連会社を5000万ドルで買収
Cue社は、CEO(最高経営責任者)のDaniel Gross氏とCTO(最高技術責任者)のRobby Walker氏によってクラウド検索会社として創設されましたが、今週、アップルによって5000万ドルで買収されました。
買収手続きの一部としてアップルがよく行う手法ですが、Cue社のオリジナル製品と今後発売が予定されるアップルバージョンの製品との関係は切り離されます。アップルは、Siriの時も同様のことを行っており、Siriは、買収後にアップル製品としていくつかのオプションを搭載して再販売をしました。
Cue社の場合には、おそらく別のアプリとして再販売することにはならないでしょう。Cue社は、iPhoneアプリのGreplinで有名であり、クラウド上のデータの検索エンジンとして利用されています。同社は、2011年2月に設立されたベンチャー企業であり、サンフランシスコに拠点を置いています。
Googleに対する先制攻撃か
今回の買収では、Google Nowが得意とするクリエイティブ分野に対してアップルの先制攻撃との見方もあります。
Cue社のコアコンピタンスは、アルゴリズムにあります。この技術には、膨大な量の個人情報を検索する能力があり、ユーザーに対して必要な情報を適時に提供することができます。
ただし、アップルがCueを手に入れたとしても、Googleの検索アルゴリズムに歯が立たない可能性があり、Googleに対してはこの分野では誰にも勝ち目がないと言えるでしょう。
このため、うがった見方では、アップルはむしろクローズド分野で勝ち抜こうとしているという意見があります。つまり、SiriをCueの技術力によって強化してiOS機能の検索をより便利にしようとしているこということです。
Androidユーザーは、Googleしか使うことができませんが、iOSユーザーは、Google検索に加えて、iPhone内部のクローズドな情報に対してさらにCue社の検索技術が利用できるという点でアップルは差別化を図るのではないかということです。
Cue社の買収によってSiriが強化され、iWatchに対しては、Google Nowのような夢のようなアプリが提供できる可能性が広がったと言えます。iWatchの発表は来年になると予想されていますが、楽しみに待ちましょう。